
建設現場や工場など、重量物の移動に欠かせないクレーン。これを操作するには、法令で定められた「クレーンの資格」が必要です。
本記事では、「クレーン 資格」に関する情報を網羅的に解説。資格の種類や取得方法、費用、難易度、就職・転職での有利性まで、実践的な情報を分かりやすく紹介します。これからクレーン資格の取得を目指す方はもちろん、キャリアアップを目指す方も必見の内容です。
クレーン資格とは?概要と重要性
クレーン資格とは、労働安全衛生法に基づき、クレーンや移動式クレーンを操作するために必要な国家資格の総称です。日本国内では、一定の吊り上げ荷重を超えるクレーンを操作するには、必ず資格を取得しなければなりません。
クレーンを安全に操作するためには、高度な知識と技術が求められるため、無資格での操作は重大な事故につながる恐れがあります。そのため、資格保有は現場での信頼性や安全管理の面でも極めて重要です。
クレーン資格の種類と対応する機械
クレーンの資格には複数の種類があり、扱える機械や用途が異なります。代表的なものは以下の通りです。
クレーン・デリック運転士免許

吊り上げ荷重5トン以上のクレーンやデリックの運転が可能です。国家試験を受けて取得します。
移動式クレーン運転士免許
車両に搭載された移動式クレーン(トラッククレーンやラフタークレーンなど)を運転するための免許です。こちらも国家資格です。
移動式クレーンの運転に必要な資格は以下のとおりです。
小型移動式クレーン運転技能講習
吊り上げ荷重1トン以上5トン未満の移動式クレーンを操作するための資格。講習修了で取得可能です。
床上操作式クレーン運転技能講習

床上からワイヤレスまたは有線操作でクレーンを動かすための資格です。こちらも講習で取得できます。
必要な資格の種類
クレーンの場合

つり上げ荷重による区分 | 運転に必要な資格 |
つり上げ荷重が5トン以上 | クレーン・デリック運転士免許(限定なし) クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定) |
つり上げ荷重が5トン以上の床上運転式 | クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定) |
つり上げ荷重が5トン以上の床上操作式 | 床上操作式クレーン運転技能講習 |
つり上げ荷重が5トン以上の跨線テルハ | クレーンの運転の業務に係る特別教育 |
つり上げ荷重が5トン未満 | クレーンの運転の業務に係る特別教育 |
移動式クレーンの場合

つり上げ荷重による区分 | 運転に必要な資格 |
つり上げ荷重が5トン以上 | 移動式クレーン運転士免許 |
つり上げ荷重が1トン以上5トン未満 | 小型移動式クレーン運転技能講習 |
つり上げ荷重が1トン未満 | 移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育 |
玉掛業務をする場合

つり上げ荷重による区分 | 運転に必要な資格 |
・つり上げ荷重1トン以上のクレーン ・つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーン ・つり上げ荷重1トン以上のデリック | 玉掛け技能講習 |
・つり上げ荷重1トン未満のクレーン ・つり上げ荷重1トン未満の移動式クレーン ・つり上げ荷重1トン未満のデリック | 玉掛け業務に係る特別教育 |
クレーン資格の取得方法
資格の種類によって取得方法は異なります。以下にそれぞれの方法を紹介します。
国家試験で取得する資格
- 試験実施機関:安全衛生技術試験協会
- 試験科目:学科試験と実技試験(または実技講習)
- 受験資格:年齢18歳以上、視力や色覚など健康基準を満たすこと
講習で取得する資格

- 実施機関:都道府県労働局登録の講習機関
- 講習時間:学科+実技あわせて2〜4日程度
- 修了後、即日で修了証が交付される場合もあります
資格取得にかかる費用と期間
資格によって異なりますが、平均的な費用と期間の目安は以下の通りです。
資格名 | 費用相場 | 取得までの期間 |
---|---|---|
クレーン・デリック運転士 | 約25,000〜40,000円(試験費用) | 数ヶ月(独学or講習→試験) |
移動式クレーン運転士 | 約30,000〜50,000円 | 数ヶ月 |
小型移動式クレーン | 約40,000〜60,000円 | 約3日 |
床上操作式クレーン | 約20,000〜40,000円 | 約2日 |
難易度と合格率について
国家資格の場合、クレーン・デリック運転士や移動式クレーン運転士はある程度の難易度があります。
- クレーン・デリック運転士:合格率約40〜50%
- 移動式クレーン運転士:合格率約50〜60%
一方、技能講習で取得できる資格は講義と実技中心で、基本的に修了できれば資格が与えられます。受講生のほとんどが修了証を得ています。
資格取得後の活躍の場と年収の目安

クレーン資格を取得すると、以下のような職場での就業が可能になります。
- 建設会社
- プラント・製造業
- 港湾・物流会社
- 自衛隊や公共団体
平均年収は約400万〜600万円とされており、重機オペレーターや特殊作業の需要が高まるにつれて、年収アップも見込まれます。特に大型クレーン免許を持っていると、より高待遇の現場で働くチャンスが広がります。
よくある質問(FAQ)
Q. 未経験でも取得できますか?
A. はい。多くの資格は未経験者でも受講可能で、講習で基礎から学べます。
Q. 資格に有効期限はありますか?
A. 基本的にクレーン資格は一度取得すれば更新不要ですが、安全教育の受講は定期的に必要です。
Q. どの資格から取るべき?
A. 初心者なら「床上操作式クレーン」や「小型移動式クレーン」からの取得がおすすめです。
まとめ
クレーンの資格は、安全かつ効率的に重量物を扱うための必須スキルです。資格の種類によって扱えるクレーンが異なるため、自分のキャリアプランに合った資格を選ぶことが重要です。取得には費用や時間がかかるものの、就職や転職、市場価値の向上に直結するため、投資価値は十分にあります。
「クレーン 資格」で情報収集しているあなたにとって、本記事が最初の一歩になれば幸いです。