
防じんマスクにはいろいろな種類や性能があります。
正しく選択できていないと、従業員が「じん肺」になってしまうかも!?
この記事では、防じんマスクの正しい選択方法について、わかりやすく解説します!
目次
防じんマスクとは?
防じんマスクは、空気中に浮遊する粒子状物質(以下、粉じんといいます)の吸入によって発生するじん肺などの病気を予防するために使用されるもので、呼吸用保護具の一種です。
保護具着用管理責任者の選任が必要?
防じんマスクを従業員に着用させる場合、衛生管理者や作業主任者、その他必要な講習を受けた方の中から、「保護具着用管理責任者」を選任する必要があります。
保護具着用管理責任者を選任した場合、作業場に「氏名」を掲示し、「保護具の監視や選定の業務」に従事させる必要があります。
防じんマスクが必要な作業とマスクの種類は?
防じんマスクは、空気中の有害物やオイルミストの有無によって適切な性能をもったマスクを選択する必要があります。
防じんマスクは、一般的に粉じんの補修率が高い(フィルターの目が細かい)ものほど、息がしづらくなります。
そのため、作業内容や、作業強度、防じんマスクの重量を考え、作業に適したものを選ぶことが大切です。
防じんマスクの性能の指標として、「RS1」「RS2」「RS3」「DS1」「DS2」「DS3」のような区分があり、有害物の種類やオイルミストの有無によって必要とされる性能が異なります。
防じんマスクが必要な作業と、対応する性能区分は下の表のとおりとなります。
粉じんなどの種類と作業内容 | 防じんマスクの性能の区分 |
〇安衛則第592条の5 廃棄物の焼却施設に係る作業で、ダイオキシン類の粉塵の暴露の恐れのある作業 | ・オイルミストが存在しない場合 RS3、RL3 ・オイルミストが存在する場合 RL3 |
〇電離則第38条 放射性物質がこぼれたときなどによる汚染のおそれがある区域内の作業または緊急作業 | ・オイルミストが存在しない場合 RS3、RL3 ・オイルミストが存在する場合 RL3 |
〇鉛則第58条、特化則第43条、粉塵則27条 金属のヒュームを発散する場所での作業 | ・オイルミストが存在しない場合 RS3、RL3 ・オイルミストが存在する場合 RL3 |
〇鉛則第58条、特化則第43条 管理濃度が0.1㎎/m3以下の物質の粉じんを発散する場所における作業 | ・オイルミストが存在しない場合 RS2、RS3、DS2、DS3、RL2、RL3、DL2、DL3 ・オイルミストが存在する場合 RL2、RL3、DL2、DL3 |
〇上記以外の粉じん作業 | ・オイルミストが存在しない場合 RS1、RS2、RS3、DS1、DS2、DS3、RL1、RL2、RL3、DL1、DL2、DL3 ・オイルミストが存在する場合 RL1、RL2、RL3、DL1、DL2、DL3 |
型式検定を受けているか確認しましょう!
防じんマスクは、厚生労働省が定めた規格を満たしたしたもので、「型式検定」に合格したものを選ぶ必要があります。
型式検定を合格したマスクはどのように判別するのでしょうか??
それは簡単!!下の画像のようにマスクに「国検」マークがついているものが型式検定の合格品です。

防じんマスク使用時の注意事項
酸素欠乏場所・有毒ガス使用場所に注意!
防じんマスクは、酸素濃度18%未満の場所では使用できません。このような場所では「給気式呼吸用保護具」といい、潜水士が使用するボンベがついた酸素ボンベがついた保護マスクを使用する必要があります。
また、有毒ガスが発生する場所では、防じんマスクでは効果がありません。有毒ガスが存在する環境では、「防毒マスク」を使用しましょう。
防じんマスクは点検してから使いましょう!
防じんマスクを使用するときは、その都度、次の事項を点検しましょう!
- 吸気弁、面体、排気弁、しめひもなどに破損や亀裂、著しい変形がないか
- 吸気弁、排気弁、弁座に粉じんが付着していないか
- ろ過材が適切に取り付けられているか
- ろ過材が破損したり、穴が開いていないか
- ろ過材から悪臭がしないか
- 予備の防じんマスクやろ過材があるか
顔面とのフィット具合を確認しましょう!
防じんマスクと顔面との隙間からの粉塵の侵入を防止するため、着用後は、フィットチェッカーなどを使用し、気密性を確認しましょう!
フィルターの交換について
防じんマスクの使用中に息苦しさを感じた場合、ろ過材を交換しましょう!
なお、使い捨て防じんマスクによっては、「使用時間」が決まったマスクもあることから、購入したときに取扱説明書をよく確認しましょう。
マスクの使用時間は従業員任せにするのではなく、帳簿などを用意し、保護具着用管理責任者などに管理をお願いしましょう。
その他の注意事項
防じんマスクを使用するときには、次のことにも注意しましょう
- タオルなどを当てた上から防じんマスクを使用すること
- 接顔部に接顔メリヤスを使用すること
- 着用者のひげ、もみあげ、前髪などが面体の接顔部と顔面の間に入り込んだり、排気弁の作動を妨害するような状態で防塵マスクを使用させないこと
防じんマスクの着用に関する教育
防じんマスクを着用する従業員に対しては、防じんマスクの取扱説明書やガイドブック、パンフレットなどに基づき、防じんマスクの適正な着用の仕方、使用方法や顔面との密着の確認方法について教育や訓練を行う必要があります。
正しく防じんマスクを着用していないと、容易に粉じんがマスク内部に侵入してしまいます。
防じんマスクは、粉じんから体を守る「最後の砦」です。正しく着用することが重要ですね!