
フォークリフトは物流や製造業など、多くの現場で不可欠な機械ですが、一歩間違えば重大な労働災害につながる危険な作業機器でもあります。実際、毎年多くのフォークリフト事故が発生しており、死傷事故につながるケースも少なくありません。
本記事では、「フォークリフト 事故」というキーワードで情報をお探しの方に向けて、よくある事故事例7選と、事故を防ぐための安全対策、そして関連する安全衛生法の規定についてわかりやすく解説します。現場の安全を守るために、必ず押さえておきたい内容を網羅しています。
フォークリフト事故の現状と統計
厚生労働省の発表によると、毎年1,500件以上のフォークリフトによる労働災害が報告されています。特に死亡事故の割合が高く、2022年には35件の死亡事故が発生しています。これらの事故の多くは、防げたはずの基本的なミスやルール違反によるものです。
よくあるフォークリフトの事故事例7選
事例1:歩行者との接触事故(はねられ)
状況:トラックで荷積み作業をしていた作業員が、後退中のフォークリフトとトラックに挟まれて、重傷を負った。
原因:フォークリフトの運転者が後方確認を怠った。

作業をする前には作業計画を立てよう!フォークリフトの作業エリアに歩行者や他の車両がいる場合は誘導員を立てると安全に作業ができるよね。

事例2:荷崩れによる下敷き事故
状況:荷を高く積みすぎたパレットが、搬送中に崩れて作業員を直撃。
原因:荷物の積載基準を超えて積載していた。

荷が高くなると視界が悪くなり、危険だよね。
荷の高さ制限をするため、フォークリフトのバックレスト部分に色付けする工夫をしている会社もあるよ。

事例3:フォークの上昇中に人が挟まれる
状況:メンテナンス中、フォークが上昇し、近くにいた作業員が壁との間に挟まれた。
原因:作業エリアが立ち入り禁止措置されていなかった。

フォークリフトと作業者の通行エリアは分けるのが原則だよね。安全通路をしっかりと明示しよう!
事例4:フォークリフトの横転による運転者の死亡
状況:傾斜地でスピードを出しすぎてフォークリフトが横転。シートベルト未装着で運転者が放り出され死亡。
原因:速度超過とシートベルト不使用。

事例5:無資格者による運転事故
状況:新入社員が研修前に誤ってフォークリフトを運転し、壁に激突。
原因:事業者が無資格者に操作を許可していた。

資格者に運転させるのは、事業主の責務だよ。運転者が多くなる場合、フォークリフトの機体に資格者名簿を掲示すると、無資格運転がなくなるよ!
事例6:狭い通路での衝突事故
状況:構内の狭い通路でフォークリフト同士が正面衝突し、双方の運転者が負傷。
原因:一方の運転者が一時停止を無視。
事例7:駐車中に動き出して事故
状況:エンジンをかけたまま無人状態で放置されたフォークリフトが動き出し、資材を破損。
原因:サイドブレーキのかけ忘れと運転席離脱のルール無視。

労働安全衛生法における規制と罰則
フォークリフトに関連する主な法律は以下の通りです:
- 労働安全衛生法第20条~第22条:機械の点検、整備、安全措置の義務
- 労働安全衛生法第61条:資格を有する者以外の作業の禁止
- 労働安全衛生規則第151条~第151条の9:運転方法、点検、整備、離席禁止などの具体的な規定
これらに違反した場合、事業者には6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることがあります(労働安全衛生法第120条)。
フォークリフト事故を防ぐための5つの安全対策
運転者の適正な教育と免許取得
フォークリフトの運転には「フォークリフト運転技能講習」の修了が必須です。無資格者による運転は絶対に許してはいけません。
作業前点検の徹底
ブレーキ、警音器、灯火類、タイヤの空気圧など、安全装置の点検を毎日始業前に実施することが重要です。
安全ルートと通行区分の明確化
歩行者と車両の動線は物理的に分離するのが理想です。カラーラインやフェンスを活用しましょう。
シートベルトの装着と速度管理
横転リスクに備えて、運転中は必ずシートベルトを装着させましょう。また、構内の速度制限を明示し、速度超過には厳正な対応が必要です。
作業エリアの安全管理
見通しの悪い場所にはミラーを設置し、交差点では一時停止の義務を設けるなど、ヒューマンエラーを補う仕組みが必要です。
フォークリフト作業における教育と資格の重要性
労働災害の多くは、「知識不足」「危機意識の欠如」「慣れによる油断」から発生します。運転者に対する定期的な安全教育、リフレッシュ講習、安全衛生大会の実施は、事故を未然に防ぐための有効な手段です。
まとめ:安全は日々の意識から
フォークリフト事故は、正しい知識と習慣、そして職場全体の安全意識によって大幅に減らすことができます。安全衛生法を守ることは、単なる法令遵守にとどまらず、現場の命と健康を守るための最低限のルールです。今一度、現場の安全体制を見直し、事故ゼロの職場を目指しましょう。