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検査などの制度の概要
ボイラー、クレーンなどのように特に危険な作業を必要とする機械などについては、その安全性能を確保するために、設計・製造の段階から使用の段階にわたって一定の基準を満足させるように検査などが義務付けられています。
この対象となる機械は、「特定機械」と呼ばれています。
特定機械ってどんなものがあるの?
特定機械は次のようなものがあります。
- ボイラー(小型ボイラーを除く)
- 第一種圧力容器(小型圧力容器を除く)
- つり上げ荷重が3トン以上
- つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーン
- 積載荷重が1トン以上のエレベーター (簡易リフト及び建設用リフトを除く)
- ガイドレールの高さが18メートル以上の建設用リフト (積載荷重が 0.25トン未満のものを除く)
- ゴンドラ
製造許可
特定機械等を製造しようとする者は、特定機械等の型式ごとに、都道府県労働局長の許可を受けなければいけません(安衛法37)
製造の許可に当たっては厚生労働大臣が定める基準(製造許可基準)に適合していることを確認することになっています。
造許可基準には、次のことが定められています。
- 機械等の構造が構造規格に適合していること
- 製造又は検査の設備として所定のものを有すること
- 所定の工作責任者等がいること
製造時等の検査
都道府県労働局長の許可を受けた特定機械等については、製造・設置された段階で、個々の特定機械等が規格・基準に適合しているかを確認するために検査を受けることとされています。
輸入した機械等、主要構造部分が変更された機械等も同様に検査が必要です。(安衛法38)
このような製造等の段階での検査には次のものがあります。
- 都道府県労働局長が行う検査
- 外国製造者について都道府県労働局長等が行う検査
- 労働基準監督署長の行う検査
都道府県労働局長が行う検査
都道府県労働局長が行う検査には、製造時の検査及び使用検査があり、
①特定機械等を製造した者は製造時の検査を、②特定機械等を輸入した者,③一定期間設置されなかった特定機械を設置しようとする者及び使用を廃止した特定機械等を再び設置又は使用しようとする者は使用検査を受けなければいけません。(安衛法38①)
製造時の検査には、機械等の種類により、製造検査(移動式クレーン、 ゴンドラ)、溶接検査及び構造検査(ボイラー、第一種圧力容器)があります。
製造時等検査対象機械等のうち特定廃熱ボイラーについては原則として登録製造時等検査機関が行う検査を受けなければいけません。
外国製造者について都道府県労働局長等が行う検査
外国において特定機械等を製造した者は、特定機械等を我が国に輸出しようとする時等には、自ら特別特定機械等以外のものであるときは都道府県労働局長の、特定廃熱ボイラーであるときは製造時等検査機関の検査(使用検査)を受けることができます。(安衛法382)
労働基準監督署長の行う検査
労働基準監督署長の行う検査には、設置時の検査、変更を加えたとき の検査などがあり、①特定機械等 (移動式クレーン等移動式のものを除く。)を設置した者は落成検査を、②主要構造部分に変更を加えた者は変更検査を、及び、③使用を休止したものを再び使用しようとする者は使用再開検査を受けなければいけません。(安衛法383)
落成検査の対象はボイラー、第一種圧力容器、クレーン、デリック、 エレベーター及び建設用リフトである。これらの特定機械等を設置しようとする事業者は、落成検査の申請のほか、特定機械等の設置届を所轄労働基準監督署長に提出しなければいけません。
移動式ボイラー、移動式クレーン及びゴンドラは、その性質上落成検査は行わないが、これらを設置した事業者は所轄労働基準監督署長に設置報告書(ゴンドラは設置届)を提出しなければいけません。
検査証
製造時又は設置時の検査に合格すると検査証が発行されます。
落成検査を行うものは労働基準監督署長から、製造検査等のみのものは都道府県労働局長から交付されます。
労働基準監督署長が変更検査・使用再開検査を行ったときは検査証に裏書きを行います。(安衛法39)
検査証は特定機械等の検査の結果が記録されるものであり、所定の検査を受け、機械等が有効な状態にあることを証明するものです。
検査証を受けていない特定機械等は使用してはならず、検査証を受けた特定機械等を譲渡・貸与するときは検査証とともにしなければいけません。(安衛法40)
なお、この「検査証」は有効期間内の検査証をいうものであり、検査証の有効期間の経過した特定機械等は使用してはいけません。