職場の「健康保持増進対策」について


健康保持増進の趣旨

近年の高年齢労働者の増加、急速な技術革新の進展等の社会経済情勢の変化、労働者の就業意識や働き方の変化、業務の質的変化等に伴い、定期健康診断の有所見率が増加傾向にあるとともに、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移しています。

このような職場における労働者の心身の健康問題に対処するためには、心身両面の健康の保持増進を図るとともに、すべての労働者を対象とすることが重要な課題となっています。

これらの身体機能の低下や疾病は、適度な運動、適切な食生活、十分な睡眠と休養、ストレスのコントロール等により、かなり予防することができます。

一方、労働者が働く職場には労働者自身の力では取り除くことのできない健康障害要因、ストレス要因などが存在しています。

したがって、労働者の健康を確保していくには、労働者の自助努力とともに、事業者の行う健康管理が重要となっています。

このため、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」を策定し、心身両面にわたる健康保持増進措置を推進しています。

健康保持増進対策の体制

職場における健康保持増進を推進するに当たって必要なスタッフの種類は次のとおりである。

産業医

②運動指導担当者

運動実践担当者

心理相談担当者

⑤ 産業栄養指導担当者

⑤ 産業保健指導担当者

これらの指導者は、健康に関する知識、運動に関する知識、健康的な生活習慣を定着させるための方法に関する知識と、これらに関する実技能力が要求されます。

このため、事業者は、必要な研修を受講させることにより、これらのスタッフの養成に努める必要があります。

なお、これらのスタッフについては兼任することも可能です。

また、健康保持増進措置が中長期的視点に立って継続的に行われるように、PDCA方式により計画を推進するとともに、衛生委員会等の活用も含め、その実施体制を確立していく必要があります。

健康保持増進措置の内容

健康測定

健康の保持増進のためには、各個人が健康に関する正確な知識を持ち、産業医を中心とするスタッフの指導を受けながら自己の健康管理を継続して実施することが有効です。

健康測定は、労働者の健康状態を把握し、健康指導に必要なデータを得るために行われるもので、問診、生活状況調查、医学的検査であり必要に応じて運動機能検査を行うものです。

運動指導

運動指導は、自らの健康状態に合った適切な運動を日常生活に取り入れる方法を習得することを目的とするもので、いつでも、どこでも行えるような運動プログラムおよび方法を具体的に示し、運動を行うに当たって留意すべき事項も指導します。

メンタルヘルスケア

心の問題が労働者の身体の状態、日常の行動などに影響していることもあります。

健康測定の結果、メンタルヘルスケアを受けることが望ましいと考えられる場合や本人の希望があった場合は、ストレスに対する気づきの援助やリラクセーションの指導を行います。

栄養指導

過食、食塩やアルコールの過剰摂取、食生活の偏り等に起因する健康上の問題を解決するために、食生活の評価を行い、その改善に向けた実践指導を行います。

保健指導

勤務形態や生活習慣によって生じる健康上の問題を解決するために、睡眠、喫煙、飲酒、口腔保健等について、健康的な生活への指導および教育を行います。

労働者健康保持増進サービス機関等の活用

健康保持増進のための具体的指導は、事業場内に各専門スタッフを配置し、チームとして実施していくことが基本であるが、事業場内に専門スタッフを確保することが困難な場合には、事業場外の機関を利用することも可能です。

事業場における治療と職業生活の両立支援

疾病を抱えた方々が、適切な治療を受けながら、仕事を続けられるように支援することが重要な課題となっていることから、平成28年2月「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドラインについて」 が策定され、通達に基づく取組の推進を図っています。

なお、労働者の疾病管理については、労働安全衛生規則14条第1項第6号「その他労働者の健康管理に関すること」の中で事業者に義務付けられています。


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