
作業主任者は労働安全衛生法に基づき、一定の危険や有害な作業を行う際に必ず選任しなければならない国家資格保持者です。しかし、どんな作業にどの作業主任者が必要なのかを正確に把握している方は意外と少ないのではないでしょうか?
本記事では「作業主任者 一覧」のキーワードで検索している方に向けて、作業主任者の種類や選任が必要な作業内容を表形式でわかりやすく整理し、法的な根拠や役割も含めて詳しく解説します。これから事業場での労働安全衛生対策を強化したい方、作業主任者選任の必要性を再確認したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
作業主任者とは?その役割と法的義務

作業主任者とは、労働安全衛生法に基づき、特定の危険または有害な作業を安全に行うために選任される者を指します。作業現場での安全指導や点検、指揮監督などを行い、労働者の安全を確保する重要な役割を担います。
作業主任者は「技能講習」を修了した者が対象となり、事業者は法令で定められた作業に該当する場合、必ず作業主任者を選任する義務があります。

決められた作業の指揮をする現場のリーダー的存在ね!

うんうん!
作業の指揮のほかにも、保護具の着用を監視したり、設備の点検を行うこともあるよ。みんなに安全に作業してもらうための重要な仕事だよ。
作業主任者の選任が義務付けられる理由
作業主任者が義務付けられているのは、労働災害のリスクが高い作業や有害物質を取り扱う作業が主な対象です。専門知識と経験を持つ作業主任者が管理・監督することで、事故や健康障害の発生を防止することを目的としています。
【表一覧】作業主任者の種類と選任が必要な作業
以下に、労働安全衛生法に基づいて選任が必要とされている作業主任者の種類と、その選任が義務づけられる作業を一覧表にまとめました。
作業主任者の種類 | 選任が必要な作業(概要) |
---|---|
足場の組立等作業主任者 | 高所での足場の組立・解体・変更作業(5m以上) |
型枠支保工の組立て等作業主任者 | コンクリート型枠の支保工の組立・解体作業 |
地山の掘削作業主任者 | 地山の掘削深さ1.5m以上の作業 |
土止め支保工作業主任者 | 土止め支保工を使用する作業(掘削深さ1.5m以上) |
鉛作業主任者 | 鉛または鉛化合物を取り扱う作業 |
有機溶剤作業主任者 | 有機溶剤を使用する塗装・洗浄などの作業 |
石綿作業主任者 | アスベストを含む材料の取扱作業 |
特定化学物質作業主任者 | 発がん性等の特定化学物質を取り扱う作業 |
酸素欠乏危険作業主任者 | 酸素濃度が低い場所での作業(例:マンホール) |
高圧室内作業主任者 | 高気圧の環境での作業(ケーソン工法等) |
木材加工用機械作業主任者 | 製材機械を使用する作業 |
プレス機械作業主任者 | プレス機械(機械式)を使用する作業 |
ボイラー取扱作業主任者 | 小型ボイラー以外のボイラーの取り扱い |
※上記は主な一部であり、業種によって他にも必要な主任者があります。

現場に常駐する必要のある作業主任者はどれ??

職務の内容に「監視」や「直接指揮」などが含まれている作業主任者は現場に常駐する必要があるよ!例えば、職務として保護具の監視がある「有機溶剤作業主任者」や「足場の組立て作業主任者」「特定化学物質作業主任者」などは常駐が必要だから気を付けようね!
作業主任者を選任した場合の掲示
事業者は作業主任者を選任した場合、その者の氏名と職務内容などを「見やすい場所に掲示」する義務があります。掲示看板はミドリ安全などのサイトで購入することができます。
(例)有機溶剤作業主任者の場合の掲示

作業主任者を選任しない場合の罰則
作業主任者を選任しない、または選任しても適切な業務を行わせない場合、労働安全衛生法第120条により「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性があります。さらに、労働基準監督署による是正勧告や事業停止命令の対象になることもあります。
作業主任者の資格取得方法

作業主任者になるには、所定の「技能講習」を修了する必要があります。各種講習は労働局や登録教習機関が実施しており、修了証が交付されます。講習期間は種類によって異なりますが、2~3日程度で修了可能なものも多くあります。
作業主任者選任のポイントと注意事項
- 必ず有資格者を選任する
講習修了者でなければ、たとえ経験豊富な社員でも主任者として選任できません。 - 作業の実態に合わせた主任者を配置
複数の危険作業を行う現場では、複数の主任者が必要な場合があります。 - 主任者に職務を適切に果たさせる体制を整える
現場管理者が主任者の指示を無視しては意味がありません。組織全体で安全衛生体制を確立しましょう。
よくある質問
- Q作業主任者を正・副 選任する必要はあるの?
- A
法律では作業主任者を正・副 選任することまでは書かれていないため、1名のみ選任している場合でも法違反にはなりません。ただし、年休や欠勤などで作業主任者が不在となった場合は、現場で作業主任者が不在の状況になるため、法違反を指摘されることがあります。
また、行政の指導通達には、「作業主任者は正・副 選任していない場合、指導すること」が記載されていますので、複数名の選任に努めましょう。
まとめ
作業主任者は、労働災害を防ぐために非常に重要な役割を担う存在です。事業者には、該当する作業に対して適切に作業主任者を選任する義務があります。この記事で紹介した「作業主任者 一覧」を活用し、自社の作業内容と照らし合わせて、必要な主任者の有無を必ず確認してください。法令遵守とともに、現場の安全確保を徹底していきましょう。