職場の熱中症予防ガイド|WBGTを活用した安全対策とは?

夏の暑さが厳しくなる中、職場での熱中症対策は欠かせません。

特に屋外作業や工場内の高温環境では、適切な対策を講じなければ労働災害につながるリスクが高まります。

熱中症を防ぐためには、単なる気温のチェックだけでなく、湿度や輻射熱も考慮したWBGT(暑さ指数)を活用することが重要です。

本記事では、WBGTの基本的な計算方法や測定方法、そして職場で実践できる具体的な熱中症対策について詳しく解説します。安全で快適な職場環境を整えるために、ぜひ参考にしてください。

職場における熱中症のリスクとは?

夏場の高温多湿な環境では、労働者が熱中症になるリスクが高まります。特に屋外作業が多い建設現場、工場内、倉庫業務、農作業などでは、長時間の作業により体温が上昇しやすくなります。また、気温がそれほど高くなくても、湿度や輻射熱の影響で体感温度が上がり、熱中症の危険性が増します。

熱中症の初期症状としては、めまい、立ちくらみ、大量の発汗、倦怠感などがあります。これらを放置すると、重症化して意識障害やけいれん、最悪の場合は命に関わる事態になることもあります。そのため、職場における熱中症リスクを正しく理解し、適切な予防策を講じることが重要です。

近年、熱中症による労働災害も増加しており、厚生労働省や気象庁も注意喚起を行っています。特に、WBGT(暑さ指数)を活用することで、熱中症の危険度を具体的に把握し、適切な対策を講じることが可能です。

次章では、WBGTとは何か、その測定方法と重要性について詳しく解説します。

WBGT(暑さ指数)とは?その重要性と測定方法

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)とは、気温だけでなく、湿度や輻射熱(地面や建物からの熱放射)も考慮した指標で、熱中症のリスク評価に広く用いられています。一般的な気温だけでなく、人体が受ける熱ストレスの総合的な評価が可能なため、職場における熱中症対策の基準として非常に有効です。

WBGTは、以下の3つの要素から算出されます

  • 湿球温度(Tw): 湿度の影響を考慮した温度
  • 黒球温度(Tg): 輻射熱の影響を考慮した温度
  • 乾球温度(Ta): 一般的な気温

WBGTの計算式

WBGTは、測定環境(屋内・屋外)によって異なる計算式が使用されます。

  • 屋外(太陽が当たる場所)の場合
    WBGT = 0.7 × Tw + 0.2 × Tg + 0.1 × Ta
  • 屋内(または日陰)の場合
    WBGT = 0.7 × Tw + 0.3 × Tg

この計算式からもわかるように、湿球温度(Tw)がWBGTに最も大きな影響を与えるため、湿度が高い環境では特に注意が必要です。

測定方法としては、専用のWBGT測定器を使用するのが一般的です。特に、工場や建設現場などでは、日陰と日向でWBGTを測定し、リスクの高い作業環境を特定することが推奨されています。

また、気象庁や環境省から発表される「熱中症警戒アラート」でもWBGT情報が提供されており、これを活用することで、職場の安全管理を強化することができます。

次の章では、WBGTを活用した具体的な職場の熱中症対策について紹介します。

WBGTを活用した職場の熱中症対策

WBGT基準値とリスクレベル

WBGTは、数値に応じて以下のようなリスクレベルに分類されます。

  • 25℃未満: ほぼ安全
  • 25~28℃: 注意(適度な休憩が必要)
  • 28~31℃: 警戒(作業時間の短縮・休憩の強化が必要)
  • 31℃以上: 厳重警戒(作業の中止や頻繁な休憩が必要)

職場では、この基準に従い、作業スケジュールを調整することが重要です。

作業内容ごとの注意点

作業環境に応じた熱中症対策が求められます。

  • 屋外作業(建設業・農業など): 直射日光を避け、こまめに日陰で休憩を取る。
  • 工場・倉庫業務: 扇風機やスポットクーラーを活用し、適度な換気を行う。
  • デスクワーク: 室内でもWBGTが高い場合はエアコンを適切に使用する。

暑熱順化の重要性

暑さに慣れる「暑熱順化」も重要です。新入社員や季節の変わり目には、徐々に暑さに慣れるようにし、急激な気温変化に対応できる体づくりを心がけましょう。

職場で実践できる熱中症予防策

  1. こまめな水分・塩分補給
    汗をかくことで体内の水分や塩分が失われるため、定期的に水やスポーツドリンクを摂取することが重要です。
  2. 適切な休憩の確保
    直射日光を避け、涼しい場所で休憩を取ることで、体温の上昇を防ぎます。
  3. 空調設備や冷却グッズの活用
    スポットクーラー、扇風機、冷却タオル、冷却スプレーなどを利用し、体温調整を行います。
  4. 服装の工夫
    通気性の良い作業着や、冷感素材の衣類を着用することで、熱のこもりを防ぎます。
  5. 異常時の対応訓練
    職場で熱中症が発生した際に迅速に対応できるよう、応急処置や救急対応の訓練を行いましょう。

まとめ

WBGT(暑さ指数)を活用することで、職場の熱中症リスクをより正確に把握し、適切な対策を講じることができます。

熱中症を防ぐためには、日々の環境チェック、水分補給、適切な休憩、空調管理などを徹底し、安全な作業環境を整えることが重要です。従業員の健康を守るためにも、職場全体で熱中症対策を推進しましょう。

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