
作業環境測定で「第三管理区分」と判定された…となると、正直ドキッとしますよね。「これって何をすればいいの?」「どんな対応が必要?」と不安になる方も多いはず。しかも2024年4月から法改正が入り、対応のハードルも少し上がっています。
この記事では、第三管理区分とは何か、なぜ改善が必要なのか、そして実際に現場で何をすればよいのかを、法改正のポイントもふまえてわかりやすく解説します。現場で役立つ実践的なヒントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!
第三管理区分って何?基本をおさらい
作業環境測定の結果で「管理区分」という評価がされます。これは、有害物質の濃度がどれくらいか、労働者の健康リスクはどの程度あるかを判定する指標です。以下の3つの区分があります。
- 第一管理区分:問題なし。管理状態が良好。
- 第二管理区分:やや注意が必要。改善の余地あり。
- 第三管理区分:ヤバい。早急な改善が求められる。
つまり、第三管理区分は「現状のままだと健康障害のリスクが高い」状態を意味します。
どうして第三管理区分になったの?

主な原因は、有害物質(例えば有機溶剤や粉じん、金属など)の空気中濃度が、基準値(許容濃度)を超えていることです。これは以下のようなケースでよく起こります。
- 換気装置の能力が足りない、または故障している
- 局所排気装置が適切に設置・稼働していない
- 作業手順が守られていない(フードから外れて作業しているなど)
- 作業量の増加に対応できていない
- 作業者が保護具を正しく使っていない
「設備」と「人」の両面で原因を特定していく必要があります。
2024年4月の法改正で何が変わったの?
ここがポイントです!2024年4月1日から施行された労働安全衛生規則の一部改正では、第三管理区分の作業場に対する対応義務が強化されました。
改正のポイントは以下の通り:
第三管理区分になった場合、以下の対応が必要です。
- 作業環境の改善可否と可能な場合の改善方策について、外部の作業環境管理専門家の意見を聴くこと
- 職場改善を実施し、もう一度、作業環境測定で管理区分を確認する。
- 再測定で第三管理区分であれば、保護マスクの着用を徹底する。
つまり、「そのままにしておく」は完全にNGになったということです。

再測定で環境改善を確認する間は、保護マスクの着用を徹底させよう!
第三管理区分の作業場所に求められる対応
第三管理区分と判断されたら、以下の対応が必要です:
- 原因の調査と記録
- 作業環境の改善計画の作成・実施
- 改善完了までの間の応急措置(保護具の徹底など)
- 改善後の再測定と評価
- 状況に応じた教育や指導
厚生労働省のガイドラインでも「作業環境の継続的な改善」がキーワードになっています。
実際の対応ステップ【現場でやるべきこと】

対応の流れを具体的に見ていきましょう。
ステップ① 原因の特定
- 局所排気装置の性能は足りているか?
- 作業手順や保護具の使用状況はどうか?
- 作業の時間や人数は変わっていないか?
チェックリストを作って現場で1つずつ確認するのがおすすめです。
ステップ② 環境改善の計画立案
- 局所排気装置の設置・改善
- 作業エリアの分離や換気強化
- 作業手順の見直し
法改正により、この計画の作成が必須になった点に注意しましょう。
ステップ③ 応急的な保護措置
- 防毒マスク・防じんマスクの正しい着用
- 作業時間の短縮、ローテーションの導入
- 作業員へのリスク説明と教育
改善には時間がかかるため、その間も作業者の健康を守る措置が求められます。
ステップ④ 改善後の再測定
- 再測定を実施し、第一または第二管理区分に改善されたことを確認
- 改善結果は記録し、労働者や産業医とも共有
よくある疑問とその回答
Q1:第三管理区分になったら、すぐに作業中止しないとダメ?
→いいえ。ただし、速やかな改善と保護措置の実施は必須です。保護具の使用と改善計画があれば、すぐの中止は求められません。
Q2:改善計画ってどう書けばいいの?
→厚労省が出している様式例や指針があります。社内の衛生委員会や産業医と相談して進めるのがおすすめです。
Q3:再測定はいつやるの?
→通常は半年ごとですが、第三管理区分になった場合は改善後すぐの再測定が求められます。

Q4:保護マスクはどんなものを選ぶばいいの?
有害物質の種類や状態によって選択すべき保護マスクは異なります。一般的に蒸気・ガス状の物質でしたら「防毒マスク」を、粉じんであれば「防じんマスク」を選びます。
保護マスクの選び方や購入先は以下のページをご確認ください!
おわりに:改善はピンチじゃなくてチャンス!
「第三管理区分になった…」というと、焦ってしまいがちですが、これは「現場を見直すチャンス」です。空調の改善、作業手順の見直し、教育の徹底などを通じて、働く人の健康と安全を守る環境づくりに一歩踏み出せるきっかけにもなります。
2024年の法改正で、作業環境管理はより実効性が重視されるようになりました。対応を“やらされ仕事”にせず、前向きな改善活動として取り組んでいきましょう!