
労働衛生コンサルタントは、職場の労働衛生環境を改善する専門家として注目される国家資格です。産業医や衛生管理者の経験を活かせることから、キャリアアップを目指す多くの医療・保健職が目指しています。しかし、「労働衛生コンサルタントの難易度は?」「年収はどれくらい?」「過去問はどこで入手できる?」「受験資格は?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
本記事では、試験勉強から申し込み方法、面接試験の対策、合格後のキャリアパスまで、労働衛生コンサルタント資格取得のすべてを詳しく解説します。
労働衛生コンサルタントとは?役割と活躍の場

労働衛生コンサルタントは、職場の安全衛生に関する専門家であり、労働者の健康や安全を守るために企業や組織にアドバイスを行う重要な役割を担っています。この資格を持つ専門家は、特に産業医や衛生管理者と協力し、作業環境や職場の健康対策を強化します。
具体的な仕事としては、作業環境の評価、健康診断の実施、労働災害の予防、メンタルヘルス対策の推進などがあります。企業の労働衛生を向上させることで、事故や疾病の発生を減少させ、働く人々の健康を守ることができます。
労働衛生コンサルタント試験の概要
試験日程と形式
労働衛生コンサルタント試験は、年に1回実施されます。
試験は筆記試験と面接試験に分かれており、まず筆記試験に合格することが求められます。
筆記試験では、労働衛生に関連する法令、健康管理、作業環境の知識などが問われます。面接試験は、試験合格後に実施され、実務経験や業界知識について問われます。
試験日程は安全衛生技術試験協会の公式サイトで確認することができ、試験申し込みもオンラインで行えます。
試験科目と時間

試験科目 | 方法 | 出題数(配点) | 試験時間 |
---|---|---|---|
労働衛生一般 | 択一式 | 30問(300点) | 10:00~12:00 |
労働衛生関係法令 | 択一式 | 15問(150点) | 13:00~14:00 |
専門科目 健康管理 労働衛生工学 | 記述式 | 2問(300点) | 14:30~16:30 |
受験資格の詳細【産業医・衛生管理者との関係】
労働衛生コンサルタント試験を受験するためには、一定の資格や実務経験が求められます。基本的に、以下の条件を満たしている必要があります。
No. | 受験資格 | 必要な添付書類 |
---|---|---|
1 | 大学卒業(理科系統)後5年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴等証明書 |
2 | 短期大学・高専卒業(理科系統)後7年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴等証明書 |
3 | 高校卒業(理科系統)後10年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴等証明書 |
4 | 医師免許(医師法に基づく合格証または免許証) | 合格証または免許証の写し |
5 | 歯科医師免許(歯科医師法に基づく合格証または免許証) | 合格証または免許証の写し |
6 | 薬剤師免許 | 免許証の写し |
7 | 保健師免許後10年以上業務に従事した者 | 免許証の写し、経歴等証明書 |
8 | 技術士試験合格後、登録証または合格証 | 登録証または合格証の写し |
9 | 一級建築士免許取得者(特定の要件に基づく) | 免許証、合格通知書、経歴証明書 |
10 | 衛生工学衛生管理者免許後3年以上衛生工学に従事した経験 | 免許証、経歴等証明書 |
11 | 衛生管理者として10年以上勤務経験 | 経歴証明書 |
12 | 衛生講習修了後、15年以上衛生の実務経験 | 修了証の写し、経歴証明書 |
13 | 旧高等学校令・大学令卒業(理科系統)後7年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴等証明書 |
14 | 学士号(理科系統)授与後5年以上衛生の実務経験 | 学士号の証明書、経歴証明書 |
15 | 衛生管理士資格を有する者または元衛生管理士 | 経歴証明書 |
16 | 労働衛生専門官として8年以上勤務経験 | 経歴証明書 |
17 | 職業訓練修了後、10年以上衛生の実務経験 | 訓練修了証、経歴証明書 |
18 | 労働基準監督官として8年以上勤務経験 | 経歴証明書 |
19 | 外国の16年課程卒業後5年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴証明書 |
20 | 外国の14年課程卒業後7年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴証明書 |
21 | 特定の教育施設卒業後5年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴証明書 |
22 | その他特定教育施設卒業後7年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴証明書 |
23 | 大学または公共研究機関で7年以上労働衛生に従事 | 経歴証明書 |
24 | 臨床検査技師、衛生検査技師として10年以上業務に従事 | 免許証の写し、登録証の写し、経歴証明書 |
25 | 日本国有鉄道設置教習機関卒業後7年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴証明書 |
26 | 日本国有鉄道設置教習機関卒業後10年以上衛生の実務経験 | 卒業証書の写し、経歴証明書 |
27 | 作業環境測定士として3年以上業務に従事 | 登録証の写し、経歴証明書 |
労働衛生コンサルタント試験の難易度と合格率
労働衛生コンサルタント試験は非常に専門的な知識を求められるため、難易度は高いとされています。特に、筆記試験では法令や作業環境管理、健康診断に関する幅広い知識が問われます。合格率は毎年おおよそ20%程度であり、専門職を目指すには十分な準備が必要です。
合格には、まず筆記試験の通過が不可欠です。その後、面接試験を経て最終的な合格となります。
効果的な勉強法と過去問の活用
おすすめの過去問集と学習教材
試験勉強において重要なのは、過去問をしっかりと理解することです。過去問集を活用し、出題傾向を把握することで効率よく準備を進めることができます。特に、法令や作業環境に関する問題が多く出題されるため、専門書や参考書を活用して知識を深めましょう。
過去問を使うべき理由
- 出題傾向が明確に見える
- 効率的な勉強ができる
- 試験の難易度が実感できる
- 時間配分の練習ができる
過去問は最も信頼できる「予想問題」です。
おすすめの教材:


合格者のスケジュール例
効率的な勉強法を実践するために、合格者の勉強スケジュール例を書いておきます。
例えば、試験の6ヶ月前から勉強を開始し、最初の2ヶ月間で基本的な法令や作業環境に関する知識を習得します。その後、過去問や模擬試験を使って実践的な試験対策を行います。試験直前には、復習と弱点克服に集中し、万全の準備を整えることが合格の鍵です。
労働衛生コンサルタントの年収とキャリアパス
年収の目安と勤務先の傾向
労働衛生コンサルタントとして働く場合、年収は企業規模や職場環境によって異なりますが、一般的には500万円〜800万円程度が相場です。大手企業や専門機関に勤務する場合、年収はさらに高くなることがあります。
また、労働衛生コンサルタントはフリーランスとしても活動可能です。フリーランスの場合、案件ごとの契約になるため、年収は個々の営業力や実績に大きく左右されますが、十分なスキルを持っていれば、自由な働き方が可能です。
受験から合格後までの流れ
試験の申し込み手順
試験の申し込みは、公式サイトを通じてオンラインで行います。受験希望者は必要書類を提出し、受験料を支払う必要があります。申し込みの際には、試験日程や受験場所の確認を忘れずに行いましょう。
合格後に必要な手続き

試験に合格した後は、コンサルタントとして正式に登録を行う必要があります。この手続きでは、実務経験の証明や必要な書類の提出を求められることがあります。登録が完了すると、正式に労働衛生コンサルタントとして活動を開始することができます。
労働衛生コンサルタント面接試験のポイント
面接試験でよく聞かれる質問
労働衛生コンサルタントの面接試験では、専門的な知識とともに、実務経験や問題解決能力も評価されます。よく聞かれる質問は以下の通りです。
- 「なぜ労働衛生コンサルタントを目指したのですか?」
- 「これまでの経験をどのように生かすことができますか?」
- 「労働衛生分野の課題に対して、どのようにアプローチしますか?」
効果的な回答方法と準備
面接では、自己の経験や知識を具体的に示すことが重要です。実務経験に基づいた回答を準備し、論理的かつ分かりやすく伝える練習をしておくと良いでしょう。
よくある質問(FAQ)

- Q労働衛生コンサルタントと作業環境測定士の違いは?
- A
作業環境測定士は、作業環境の物理的・化学的リスクを評価する専門家であり、労働衛生コンサルタントはそのリスクに対する対策や予防を提案する役割を担います。
- Q文系出身でも受験できますか?
- A
はい、文系出身でも受験は可能です。実務経験や専門知識を学ぶことで、試験に合格することができます。
まとめ:労働衛生コンサルタントでキャリアの幅を広げよう

労働衛生コンサルタントの資格は、企業の安全管理や健康管理に欠かせない専門家としての地位を確立するために非常に有用です。
試験の難易度は高いものの、十分な準備と実務経験を積むことで、確実に合格することができます。また、フリーランスとしても活躍できるため、キャリアの幅を広げることが可能です。試験を目指して、今から計画的に勉強を始め、次のステップへと進んでいきましょう。