
フォークリフト等車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、作業を行う場所の広さ及び地形、車両系荷役運搬機械等の種類や能力、荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定め、関係労働者に周知しなけばならないこととされています。
ここでは、フォークリフトの作業計画を立てる際のポイントと、安全衛生法に基づく注意事項について説明します。
目次
はじめに
フォークリフトは、倉庫や工場などでの物品の運搬や積み下ろしにおいて非常に重要な役割を果たしています。
しかし、その操作にはリスクが伴うため、適切な作業計画と安全衛生法の遵守が求められます。
安全衛生法には作業記録の作成について、次のように記載されています。
第百五十一条の三
事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業(不整地運搬車又は貨物自動車を用いて行う道路上の走行の作業を除く。以下第百五十一条の七までにおいて同じ。) を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の広さ及び地形、当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力、荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。
作業計画の目的
作業計画は、フォークリフトを安全かつ効率的に運用するために不可欠です。
作成には、以下の目的があります。
①安全確保: 労働者や周囲の人々の安全を守るため、事故を未然に防ぐ。
②効率的な作業: 作業の流れを最適化し、無駄を減らすことで生産性を向上させる。
③法令遵守: 安全衛生法や関連法令を遵守し、法的なリスクを回避する。
作業計画書の記載事項について
フォークリフトの作業計画の例は以下の通りです。


記載されている項目は、以下の19点があります。
- 作成年月日
- 計画作成者
- 作業名
- 具体的な作業内容
- 実施期間
- 作業人数
- 作業時間
- 荷(品名、荷姿、形状、個数、重量など)
- 荷の状況(積み方、移動させる距離)
- 作業指揮者の氏名と職位、経験年数、フォークリフトの知識の有無
- フォークリフト運転者の氏名や資格、経験年数
- フォークリフトの種類や能力、点検状況
- パレットの能力(強度、割れやひびの状況、釘などの突起の有無)
- 作業場所の状況(広さ、傾斜、道幅、一旦停止の箇所、障害物、明るさなど)
- 制限速度
- 誘導者
- フォークリフト作業図
- 作業前・作業中の留意事項と確認思考
- 関係労働者への周知
作業計画に記載する要素
フォークリフトの作業計画は、以下の基本要素から成り立っています。
作業の内容の明確化
どのような作業を行うのか、具体的に記載します。例えば、荷物の搬入、搬出、保管などの作業内容を明確にします。
使用するフォークリフトの選定
作業内容に応じて適切なフォークリフトを選びます。荷物の重量、サイズ、作業環境(狭い通路やアウトドアなど)を考慮して選定します。
作業手順の策定
作業の流れを順序立てて記載します。具体的には、以下の手順を含めると良いでしょう。
- 荷物の確認と準備
- フォークリフトの点検
- 作業エリアの確認(障害物の有無、通行ルートなど)
- 荷物の運搬手順
作業環境の整備
作業エリアの安全性を確保するため、以下の点を確認します。
- 通行路の確保
- 障害物の排除
- 作業エリアの明確な表示
作業者の教育・訓練
作業に従事する全ての作業者に対して、以下の教育を行います。
- フォークリフトの操作方法
- 安全衛生法に基づく基本知識
- 緊急時の対応方法
安全衛生法の遵守
安全衛生法に基づき、以下の事項を遵守します。
- フォークリフトの定期点検とメンテナンス
- 作業者の健康管理(定期的な健康診断)
- 作業中の事故防止策の実施(安全帯の着用、ヘルメットの着用など)
安全衛生法に基づく注意事項
フォークリフトの点検
作業開始前に、フォークリフトの点検を行います。特に以下の項目に注意します。
- ブレーキの効き具合
- 照明装置の動作
- 荷役装置の正常性
- タイヤの状態
作業場の安全管理
作業場の安全を確保するために、以下の措置を講じます。
- 標識やバリケードを使用して作業エリアを明示する
- 不明瞭な通行路を改善する
- 荷物の積み下ろし時に作業者間のコミュニケーションを促進する
労働者の健康管理
フォークリフト操作に従事する労働者は、健康状態に留意する必要があります。
定期的な健康診断や、疲労管理を行い、作業に支障をきたさないようにします。
緊急時の対応
万が一事故が発生した場合、迅速に対応できるよう、緊急時の連絡先や避難経路を周知徹底します。
また、事故発生時の報告手順を明確にし、全員が理解しておくことが重要です。
作業計画書の様式と記載例
フォークリフトの作業計画の様式と記載例はこちら(鳥取労働局)
まとめ
フォークリフトの作業計画は、安全かつ効率的な作業を実現するために欠かせません。
作業内容の明確化、使用するフォークリフトの選定、作業手順の策定、作業環境の整備、作業者の教育・訓練、そして安全衛生法の遵守が求められます。
これらの要素をしっかりと計画し、実行することで、事故を未然に防ぎ、安全な作業環境を維持することができます。