
建設現場などで欠かせない「足場」。その組立てや解体作業には、高い安全性が求められます。その中心的な役割を担うのが「足場の組立て等作業主任者」です。
本記事では、足場の組立て等作業主任者とは何か、取得に必要な条件、講習内容、受講先、主任者としての職務まで、詳しく解説します。これから資格取得を目指す方や、キャリアアップを検討している方必見の内容です!
足場の組立て等作業主任者とは

建設現場などで作業員が高所作業を安全に行うためには、しっかりとした足場が不可欠です。しかし、足場の組立てや解体には重大な事故のリスクが伴います。そこで、労働安全衛生法により「足場の組立て、解体または変更作業を行う場合には、作業主任者を選任しなければならない」と定められています。この作業主任者が「足場の組立て等作業主任者」です。
主任者は、作業現場での安全確保、作業員の指導、工程管理などを行う重要なポジションです。専門的な知識と技術を持ち、現場の安全を守るために不可欠な存在となっています。
安衛則 第五百六十五条
事業者は、令第六条第十五号の作業については、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、足場の組立て等作業主任者を選任しなければならない。
※「令第六条第十五号の作業」とは、つり足場、張出し足場又は高さが五メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業 のことを言います。
主任者に求められる職務内容

足場の組立て等作業主任者の主な職務は次の通りです。
- 作業の方法を決定し、作業手順を指示する
- 作業員に対して安全上の指導を行う
- 使用する資材や工具、安全帯などの点検を行う
- 作業環境や保護具の着用状況を常に監視し、安全確保に努める
- 危険が予見される場合は速やかに措置を講じる
また、天候や現場環境に応じた作業計画の見直し、緊急時の対応指示など、現場で即座に判断を求められる場面も多くあります。主任者は単なる監督者ではなく、作業者全員の命を預かる立場だという自覚が求められます。
安衛則 第五百六十六条
事業者は、足場の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。ただし、解体の作業のときは、第一号の規定は、適用しない。
一 材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと。
二 器具、工具、要求性能墜落制止用器具及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
三 作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること。
四 要求性能墜落制止用器具及び保護帽の使用状況を監視すること。

足場を組んでいる現場って、労基署監査の対象になりやすい!
作業主任者は、足場の組立て・解体中は現場に常駐する必要があるよ。
監査の時に不在だと、是正勧告を受ける可能性があるため、注意が必要だね!

危険な作業をしてるから、作業主任者には現場でケガなく仕事ができるための指揮をとってもらいたいね!
足場の組立て等作業主任者講習の教育内容
この資格を得るためには、厚生労働大臣登録教習機関が実施する講習を受講する必要があります。講習は通常、2日間(学科13時間+修了試験)で行われ、以下の内容が含まれます。
主な講習科目
- 作業に関する知識
- 作業に使用する機械、器具、資材に関する知識
- 作業に伴う災害及びその防止に関する知識
- 関係法令(労働安全衛生法、施行令、施行規則など)
- 実技指導(場合により)
講習修了後には修了試験があり、一定の成績を収めると「足場の組立て等作業主任者技能講習修了証」が交付されます。
足場の組立て等作業主任者の受講資格とは

誰でも受講できるわけではありません。講習を受けるには一定の実務経験が必要です。
主な受講資格
- 足場の組立て、解体または変更作業に 3年以上従事 した経験があること
または - 大学、高等専門学校などで土木、建築に関する学科を専攻し卒業後、足場作業に 2年以上従事 した経験があること
つまり、現場での実務経験が一定以上あることが条件です。この背景には、基礎的な作業知識や現場感覚を持っていることが主任者には不可欠という考え方があります。
受講先と受講費用について
講習は全国の建災防(建設労働災害防止協会)で開催されています。
受講費用は、施設によりますが 9,000円〜25,000円程度 が一般的です。テキスト代や登録料が別途必要な場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。
また、講習日程は各機関により異なりますので、希望する地域・時期に合わせて早めに申し込みましょう。
資格取得のメリット
足場の組立て等作業主任者資格を取得することで、以下のようなメリットが得られます。
- 現場責任者としてキャリアアップが可能
- 賃金アップや昇進のチャンスが広がる
- 安全管理に対する意識が高まり、自身のスキルアップに繋がる
- 施工管理技士など、他の資格取得へのステップにもなる
現場における存在感が大きく増し、責任ある立場で活躍できるようになります。建設業界では「主任者資格を持っているか否か」が大きな差となる場合もあり、持っていて損はありません。
まとめ
足場の組立て等作業主任者は、建設現場の安全を守る重要な役割を担っています。
講習を受け、実務経験を活かして資格を取得することで、より高いレベルの安全管理スキルが身につき、キャリアの幅も大きく広がります。
建設業界において欠かせない存在となるために、ぜひ資格取得を目指しましょう。
現場の安全は、あなたの知識と経験にかかっています!
