
「労基署から是正勧告書が届いたら、具体的にどう対応すればいい?」
労働基準監督署(労基署)の調査で違反が指摘されると、是正勧告書が交付されます。
しかし、具体的にどのような違反が対象となるのか、どのように改善報告を行うべきか、戸惑う企業担当者も多いのではないでしょうか?
本記事では、是正勧告書の具体例を示すことで、事前に準備すべき対策を理解していただけます!
労基署対応のポイントを押さえ、スムーズな是正対応を進めるために、ぜひ最後までご覧ください。
(関連記事)「労基署からの是正勧告例と事前準備(有機溶剤編)」はこちら
特定化学物質に関する是正勧告例

労基署の監査がある場合、特定化学物質について次の事項を確認されることが多いです。
- 第1類・第2類に関する設備
- 除じん装置の設置
- 作業主任者の選任
- 局所排気装置の点検の実施
- 作業環境測定の実施
- 洗浄設備のエッチ
- 健康診断の実施
- その他の是正勧告例
是正勧告の例は次の表の通りです。
分類 | 法令の条文 | 是正勧告の内容 |
第1類・第2類に関する設備 | 特化則4条 | 第2類物質を製造する設備について、密閉式の構造としていないこと |
特化則4条 | 第2類物質の計量、容器入れ、袋詰めする作業について、囲い式フードの局所排気装置を設けていないこと。 | |
特化則5条 | 特定第2類物質のガス、蒸気、粉じんが発散する屋内作業場について、発散源を密閉する設備又は局所排気装置を設置していないこと。 | |
特化則7条 | 局所排気装置のフードを第1類(第2類)物質のガス、蒸気、粉じんの発散源ごとに設けていないこと。 | |
特化則8条 | 第1類(第2類)物質にかかる作業が行われているのに、設置した局所排気装置を稼働させていないこと。 | |
除じん装置の設置 | 特化則9条 | 第2類物質の粉塵を含有する機体を排出する製造設備の排気筒に除塵装置を設けていないこと。 |
特化条9条 | 除塵装置に、粒形の大きい粉じんを除去するための前置き除塵装置を設けていないこと。 | |
特化則10条 | アクロレイン(フッ化水素、硫化水素、硫酸ジメチル)のガス、蒸気を含有する気体を排出する製造設備の排気筒、局所排気装置に排ガス処理装置を設けていないこと。 | |
特化則22条 | アルキル水銀化合物(塩酸、硫酸、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム)を含有する排液について、酸化・還元方式の排液処理装置を設けていないこと。 | |
特化則22条 | アルキル水銀化合物を含有する残さい物について、徐毒前に排気していること。 | |
作業主任者の選任 | 特化則14条 | 特定化学物質の取り扱いについて、「特定化学物質等作業主任者技能講習」を修了したものの中から、作業主任者を選任していないこと。 |
特化則14条 | 特定化学物質の作業主任者の氏名と職務内容について、職場の見やすい位置に掲示していないこと。 | |
特化条14条 | 特定化学物質の作業主任者に「作業方法の決定、指揮、局所排気装置の点検、保護具の使用監視」の職務を行わせていないこと。 | |
局所排気装置の自主検査 | 特化則30条 | 局所排気装置、除塵装置、排ガス処理装置について1年以内ごとに1回、自主検査を実施していないこと。 |
特化条31条 | 特定化学設備について、2年以内ごとに1回、定期に自主検査を行っていないこと。 | |
特化則32条 | 局所排気装置、除塵装置、排ガス処理装置などの定期自主検査を記録を3年間保存していないこと。 | |
作業環境測定の実施 | 特化則36条 | 特定化学物質の取り扱い作業場所について、6か月に1回、当該物質の濃度測定(作業環境測定)を実施していないこと。 |
特化条36条 | 作業環境測定の結果を3年間保存していないこと。 | |
特化条36条 | 作業環境測定の結果が第3管理区分にされた場所について、設備の点検、改善その他の方法で作業改善を行っていないこと。 | |
安衛則22条 | 作業環境測定の結果などについて、衛生委員会の付議事項にしていないこと。 | |
健康診断の実施 | 特化則39条 | 特定化学物質の取扱う労働者に常時従事する労働者について、雇い入れ時または業務の配置転換およびその後6月以内ごとに1回、定期に特定化学物質の健康診断を実施していないこと。 |
特化条39条 | 特定化学物質等健康診断結果報告書を労基署に提出していないこと。 | |
特化則22条 | 特定化学物質健康診断の結果について、衛生委員会の付議事項としていないこと。 | |
その他 | 特化則12条 | 特定化学物質により汚染されたぼろ、紙くずなどをふた又は栓をした不浸透性の容器に納めていないこと。 |
特化則18条 | 特定化学物質を設置する屋内作業場所及び作業場を有する建築物の避難会に、第3類物質が漏洩した場合に用意に地上の安全な場所に避難することのできる2以上の出入口を設けていないこと。 | |
特化則38条 | 特定化学物質を取扱う場所に、禁煙、飲食禁止の表示をしていないこと。 | |
特化則43条 | 特定化学物質の取り扱い作業場所に、当該物質の種類、業務の態様に応じた呼吸用保護具、保護委、保護手袋等を備えていないこと。 | |
特化則45条 | 呼吸用保護具、保護衣、保護手袋などについて、同時に就業する労働者の人数と同数以上備え、常時有効かつ清潔に保持していないこと。 |