有機溶剤や特定化学物質、粉塵などの化学物質を使用する作業場所で、換気をとるために必要となる「局所排気装置」や「プッシュプル型換気装置」の設置例や分類についてご紹介します。
局所排気装置の設置例

局所排気装置には、有害物を吸引する方向やフードの内外で作業するかによって、いろいろなタイプあります。
局所排気装置の分類と詳細
型式 | 型式の記号 | 特徴 | |
囲い式(E) | カバー式(E) | EE | 有害物の周りを囲み、手を入れるくらいの小さい穴程度の開口部しかないもの |
グローブボックス(X) | EX | 中に両手を差し込んで作業するためのもの。前面がガラス張りで穴の周りにゴム手袋を取り付け、密閉にしたもの。 | |
建築ブース(B) | EB | 有害物の周りを大きく囲み、作業者がブースに入って作業するもの | |
ドラフトチャンバー(D) | ED | ブース型の開口部に扉をつけて開口面積を大きくしたもの。開口部は手を入れられる程度もの。 | |
外付式(O) | スロット(S) | OS | 細長い開口を有するもの。 |
ルーバー(S) | OL | 有害物のもうけた、すだれ又はよろい戸状の開口を有するもの | |
グリッド(G) | OG | 床面、作業台の天板を格子状に開口し、その天板上で作業をするもの。 | |
自立型(F) | OF | 一般的に外付式フードと呼んでいるもの。 | |
レシーバー式(R) | キャノピー型(C) | RC | 有害物の上側につるされた自立型フード。熱浮力による上昇気流を伴う発散源に有効である。 |
グラインダーカバー型(G) | RG | 卓上式グラインダーカバーをフードとして利用する | |
自立型(F) | RF | 一般的な外付式フードと同じ形だが、有害物の飛散方向を開口で包むように設置したもの。 |

局所排気装置の制御風速について
(有機溶剤の場合)
型式 | 制御風速(m/秒) | |
囲い式フード | 0.4 | |
外付け式フード | 側方吸引型 | 0.5 |
下方吸引型 | 0.5 | |
上方吸引型 | 1.0 |
局所排気装置等の性能と点検
フードなどについて以下の措置ができているか確認しましょう。
- フードは有害物が発散する場所ごとに設けられていますか?
- 外付式フードは発散減にできるだけ近い箇所にありますか?
- フードの型式や大きさは吸引に適したものですか?
- ダクトはできるだけ短く、曲りはできるだけ少なくなっていますか?
- 排風機は、洗浄後の空気が通る位置に設置されていますか?
- 排気口は直接外気に向かって設置されていますか?
- 制御風速(型式や有害物によって必要とされる吸引風速)に問題はありませんか?
点検方法
法令では、1年以内ごとに定期自主検査を実施することになっていますが、局排は汚れや傷など少ししたことでも吸引する風量が落ちてしまいます。
有機溶剤の作業主任者の職務にもあるように、換気装置の点検を1か月に一度は行うようにしましょう。
月に一度の点検方法では、フードの吸引状態を確認するようにし、発煙管(スモークテスター)によって風速を確認するようにしましょう。
発煙管での確認は、囲い式フードの場合、開口部を16以上に当分した各中心を、外付け式の場合は、フード開口部から最も離れた作業位置で発煙させ、煙の流れを確認しましょう。
発煙管は、刺激性の物質なので、吸い込まないように注意してください。
労基から指導を受けやすいポイント
労基から指導を受けやすいポイントは以下の通りです。
- フードを発散源ごとに設置していない。
- 局所排気装置を制御風速以上で稼働させていない。
- 局所排気装置の点検(年に1回、月に1回)をしていない。
換気装置は、有害物から従業員の健康を守る強力な対応です。
法令で定められた管理を適切に実施し、あなたの職場から健康被害を受ける方がでないように対応しましょう!